「求人票の落とし穴」といって、まっさきに頭に浮かぶのは、「車通勤可・不可」の項目です。

それは、私が以前、応募担当者となって、ハローワークの求人票に申し込みをしたときのことです。

私が勤める会社は、車通勤が「可」でした。

会社は雑居ビルのなかに入っていましたので、自社所有の土地はなく、社員は各自がビルの近辺にある月極駐車場で契約をして、車通勤していました。

月極駐車場のひとつきの料金は、ガソリン代とともに交通費として、会社から全額が支給されていました。

ところがハローワークの求人募集の所定の用紙に必要事項を記入して、ハローワークに申し込むと、

「自社所有の駐車場があるのですね?」

と聞かれました。

「いいえ、ありません」

と答えると、

「それでは、車通勤は不可です」

と言われましたので、

「駐車場代は、交通費をとして会社で全額を負担してくれますので、弊社は『車通勤・可』です」
「ハローワークの規定では、自社所有の土地がない場合には、車通勤は不可となります」
と言うのです。

ここで私が、

「すいません、求人募集は、いったん取り下げます」

と機転をきかして電話を切り、数時間後に改めて、もう一度同じ申し込み用紙を提出し、

「自己所有の土地があるのですね?」

と聞かれたら、

「はい、あります」

と答えれば、よかったのです。まさかハローワークがいちいち、求人募集をかけた会社の駐車所の土地のことまで、調べにくるとは思えません。

ところが頭の固い私は、

「駐車場の土地が、弊社のものであろうとなかろうと、交通費として、駐車場代金を支給しているからには、『車通勤・可』だと、思いますが」

とハローワークの規定に、真正面から反抗しました。

だってそうでしょう? 駐車場の土地の持ち主が誰であろうと、求人を募集する会社が、「うちは、車通勤が『可』だ」と言っているのだから、ハローワークがとやかく文句をいうことではないでしょう?

この車通勤が「可」なのか「不可」なのか、ということは、とっても重要なのです。

なぜなら、自宅でインターネットの求人検索をするとき、車通勤「可」と「不可」のどちらにするか、ということをチェックする箇所があります。

私はたまたま、ハローワークのそういう規定を知っていますから、チェックは決して入れませんが、この規定は、ほとんどの人が知らないと思います。なぜって、一般常識で考えたら、会社が駐車場代金を払ってくれるのであれば、車通勤が「可」だからです。

ということは、かなり多くの求職者たちが、車通勤が「可」の会社を、「不可」として選考から外していることになります。

これは、はっきりいって、会社に対する差別です、と私は思います。

地方都市であれば、車通勤が「不可」となっているだけで、応募者が二桁の人数から一桁の人数に落ちても当然だからです。

このことをハローワークが、いったいどう考えているのかということは、いまだに不思議でしようがありません。

もし求人票の備考欄に、「駐車場代は、交通費として全額支給」と、忘れずに記入したとしても、ネット検索でチェックをつけた場合には、そんなファジーな答えは出してくれません。

求職者は、そんな良い会社が求人募集をしていることを知らないままに、他の会社を選んでしまいます。

とんでもない落とし穴だと、私は思います。