ハローワークで仕事を探すとき、求人票には、募集人数が記載されています。

退職者の欠員補充であれば、一人の退職者に対して一人の採用になりますし、業務拡張のためであれば、必要な増員数の募集となるでしょう。

なかには、欲しい人数は二人だけれども、辞める人数を見越して三人を募集する会社もありますし、募集をかけるついでに、募集している部署とは別の部署に回す社員を求める会社もあります。

私も、辞める人数を見越して多めの人数を採用した会社で働いたことが、三社ほどあります。たまたまかもしれませんが、その三社に共通していたことは、募集人数が三人とか五人とかいうように、三人以上の人数だったことです。

それは私の場合には、コールセンターや、業務委託を受けて社員を出向させる会社などでした。

求人票には、募集人数は三人と記されていても、面接に来た五人が、五人とも採用レベルに達しているのであれば、五人とも採用するだけの仕事がある会社でした。特に出向させて業務委託先で仕事をさせる会社の場合は、派遣会社と同じようなもので、五人採用したのであれば、五人分の仕事を探してきて、採用した社員にあてがいます。

業務委託の出向社員や、派遣社員などは、出向させたり派遣させたりすることによって、一人あたり○○円という代金が会社に入るわけですから、働きたいと希望する人数が多ければ多いほど、会社は儲かるわけです。

また、私が働いたコールセンターの場合などは、ある大手派遣会社のグループ会社で、就業場所には70人ほどのオペレーターが勤務していましたが、毎月毎月10人、20人という人数が採用される一方で、それと同じ数のオペレーターが辞めてゆきました。要するに、次の仕事が見つかるまでの腰掛椅子だったわけです。

ですから、仕事が終わって帰る前には、ほとんどの人が近くにあったハローワークへ立ち寄って、新着求人を見てから帰っていました。

しかしそんなコールセンターでも、何年も務めている人もいましたから、その仕事が一概に腰掛椅子だとは言いきれません。

ただ、なぜ辞めてゆくのか、ということに関しては、待遇の問題と、そのコールセンターに業務委託をしている某通販会社の、オペレーターに対する考え方が影響していたように思います。

そのコールセンターが委託されて受注していた通販の商品は、「安かろう、悪かろう」のイメージをお客様に与えるものでした。

通信販売は、広告やカタログのよく目につく場所に、受注専用の電話番号が記載されています。そして、受注以外の問い合わせなどに対する番号は、会社によっては記載していないか、あまり目立たない場所に、小さく記載されていたりします。

届いた商品に対するクレームは、受注専用電話にかけるのではなく、その他の問い合わせなどの番号にかけるべき電話です。

ところがお客様の多くは(そういう私も、お客様の立場になったときには、注文以外の内容も、やはり受注専用番号にかけます。他の番号を探すのが、面倒くさいのです)、受注専用ダイヤルにかけます。

ここで注意したいのは、クレームの電話の場合、お客様は電話をかける時点で、すでに「御立腹」という状態になっていることが多い、ということです。
オペレーターが電話に出たとき、お客様の頭の中には、すでに「苦情」の言葉が渦巻いているわけです。

苦情の文句を言うために、わざわざ電話をかけてくるほどですから、オペレーターが電話に出るのを、「待ってました!」とばかりに待ち受けて、文句を言い出します。

「申し訳ございませんが、お客様がおかけになったこのお電話は、御注文受付専用ダイヤルでございます・・・・・・」などという、定型句を口にしようものなら、御立腹していないお客様でさえ、怒り出します。

定型句というのは、お客様の怒りをあおりたてる言葉でもあるのです。

オペレータにできることは、お客様の怒りを、それ以上あおらないで、穏やかに対応することです。つまり、苦情に対して「申し訳ございません、申し訳ございません」と平謝りに謝って、お客様が納得する解決策を聞くしかありません。

 ところが納得のいく解決策は、通販会社の担当者が決めることなので、コールセンターでは一切、答えることができません。それをお客様に伝える言葉をひとことでも間違えば、後日、通販会社から、オペレーターに対して厳しいクレームが返ってきます。

オペレーター側に言わせれば、通販会社のクレームに対する対処方法が間違っているから、お客様の怒りをあおってしまっているのに、それをオペレーターの対応が悪いというのは責任の転化です。

 そして、しょっちゅうかかってくるクレームの内容を聞いていると、「そんな商品を、売っているの?」「どうしてそんな商品が、検品を通るの? 本当に、検品しているの?」などなど、耳を疑うようなクレームがほとんどなのです。

出勤して一日一回はクレームを聞かされることが毎日のように続くと、次第に自分のやっている仕事に、嫌気がさしてきます。「安かろう、悪かろう」の商品を<平気>で売っておいて、そのクレームのことで、なんで私が注意をされなければいけないの? と。

ひとつきに20人ぐらいのオペレーターが、辞めていくのは、当然と言えば当然なのでした。